立川談志最強説 「赤めだか(立川談春著)読了」

スポンサーリンク

前から読みたかった本を読んだ

「赤めだか」立川談春著

 

僕みたいなゆとり世代でも名前とともに「破天荒」というイメージを知っている立川談志

その弟子である立川談春が書いたエッセイをまとめたものだ

なぜ読みたかったか?

「よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗むほうにもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。教える方に論理がないからそういういいかげんなことを云うんだ。」

「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」

(ともに赤めだかより)

この2つの文は「談志 名言」なんて入れれば出てくるモンで

僕も確かツイッターかなんかで流れてきたのを見たんだけど

 

確か、一番精神的にしんどかった時に偶然TLに流れてきて

自分を奮い立たせたことを覚えている

以後moimoimoiで創作がうまくいかないときや、仲間とぶつかったときはだいたい、上記の二つを思い出していた

立川談志はよくも悪くも影響力があった人みたいなので

名言はたくさんネットにも落ちているんだけど

その中で僕の心にひっかっかった上記の二つは、どうやらどちらも「赤めだか」という本が出典らしいとのことで

これは読んでおかないと、と思って読みだした

立川談志名言集ではない笑

読みだしたきっかけがそんなんだったので

名言集のようなものかと思っていたけど、そうではなかった

立川談志の弟子である立川談春の自伝的色合いが強い

でも、期待外れだったかというとそういうことではなくて

立川談志という人が持つ、全てのことに真摯な一面を

すでに自分も弟子を持っている立川談春が、師弟生活の様子を通して教えてくれる感じだ

伝統が強い世界の上下関係を「解釈した上で」地でいった男

立川談志といえば。「落語立川流の家元」というのがでかい

これは、もともと家元だったのを引き継いだとかではなく、それまでの落語会を飛び出して、自分で一門を作ってしまったのだ

基本的に落語の世界は年功序列で、先に入ったものから順番に出世していく仕組みになっているようなんだけど

もちろん、昇格審査なんかもあって、形状はテストがあったとしても

暗黙の了解として、実力と関係なく先に入ったら、先に出世していくかのごとくが許せなかったのか

立川流は出世するために以下のような明確な基準を設けている

・演目を50こなせること

・歌舞音曲が出来ること

立川談志自体がテストをして、これが出来ていると認めた場合は

弟子入りして1年目だろうが2年目だろうが昇進させる

実力主義なんだ

でも、だからといって、一門の中で、落語の世界が持つ上下関係をなくしたわけじゃない

1日でも後に入ったら年下だろうが、相手が脱サラしてようが、先にはいった方が先輩

絶対に、先輩に対する無礼は許されないし、先輩が後輩にへりくだった態度を取ることを許さない

これは、ある種、この上下関係をとてつもなくストイックにとらえているってことで

1日だろうが、お前は先輩なんだ、教える立場なんだ、そういう気概を絶対に忘れるな!

っていう先輩弟子への激しい激励であって、一方で

1日だろうが、お前は後輩なんだ、それをお前の基準で超えてはいけない、それを決めるのは家元であるオレだ!悔しかったら、はやく昇進して追い抜け!そうしたらそいつを後輩としてゴミみたいに扱ってもなんも文句は言わねぇ!

っていう後輩弟子への激励を同時にするとともに、権利と責任ってものを決して忘れるなっていう

とても熱いメッセージなんだと、このエッセイを読んでいて思った

実力

その哲学ともいえる考え方は、立川談志自体にも当てはまっていて

だから、立川談志は常にトップランナーで居続けたんだと思う

冒頭に述べた、芸を盗めは嘘っていう話も

ただ単に落語を習得するだけでなく、それを論理的に分析して、基礎や理論として構築しているからこそ

教えることが出来るし、教えた弟子に超えられるっていう恐れを持つことがない

その大きな自信があるからこそ、出てくる言葉だと思う

芸の世界は、教える本人がプレーヤーであることが多いので、

「言葉じゃなく感じろ」、みたいなことを言う人が多い

実際、言語よりも感覚で教えた方が都合がいいことも多いだろうし

その教えかた全体を否定するわけではないんだけど

立川談志最強説

その感覚という言葉を隠れ蓑にして、実力と関係なく出世してしまった人が

その扱っている芸とは関係ない序列を作り出して、その実後輩から追い抜かれることを極度に恐れている

そういうことはよくあることだ、おそらく初代引田天功なんかそうだっただろう

[amazonjs asin=”4047034762″ locale=”JP” title=”タネも仕掛けもございません 昭和の奇術師たち (角川選書)”

 

それは、日本の製造業の現場なんかでもよく起きていることで

プラ製品でも紙製品でも、製造用の機械自体ってのは、機械メーカーが優秀であればあるほど誰でもできるように作ってあるので

それを扱う製造業の社員は年功序列の通りに技能が上がっていくとは限らない、若い人でも教えられればすぐ出来ちゃうようなもんなんだ、特に今はネットのせいでそれがつまびらかになっちゃったから

地元のヤンキー上がりのおじさんたちが、若者に誇れるものってもうなにもなくて、その実それがばれるのを恐れている

だから、年功序列と上下関係ばかりをやたらと強調して、そこに逃げ込んで、ろくに下の世代に教えずに、教えないからできないなんて当たり前のことを「最近の若い奴らはガッツがない」なんていって怒鳴り散らしたりする

例えば、役者さんが「感じろ」とかいって後輩に基礎やら理論やらを教えてあげないのと

このヤンキー上りのおじさんが違うところっていったら「感じろ」ってい実態のない言い訳を持ってるかどうかくらいなもんだろう

 

その点、立川談志は、真正面から弟子と向き合って、自分から言い訳のできない状況に自分を追い込んで

実際に、多分亡くなるまでトップランナーだったんだろう

そう思うと、立川談志って最強だなって思う

 

 

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。