現代的なSF漫画「堕天作戦」

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四国高知県、四万十町在住のパフォーマー松葉川健一のついてのプロフィール

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普段(特にまだ完結していない)漫画の単行本はほぼ買わない僕が

あんまり気になるのでわざわざ本屋に行ってまで買って、空いた時間にちょくちょく読んでしまう漫画

「堕天作戦」

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この漫画の魅力をブログに書き残しておきたいんだけれど

なかなか魅力の要素が多くてまとめきれない

でもなんとか書いてみたいという欲が収まらないので

登場人物というか世界感や設定なんかを紹介しつつ、勝手な感想なんかを書きたい

魔人と怪蟲

この漫画の世界には「魔人」と呼ばれる魔法が使える人種がいて

彼らは攻撃魔法が使えたり治療魔法が使えたりして、人間とは寿命も異なる

さらに魔人と人間以外の動物は、そのほとんどが怪蟲(カイコ)と呼ばれる

それぞれの能力を持たせた虫(馬の代わりの乗り物である馬怪蟲、豚の代わりの豚怪蟲など)に置き換わっている

魔人の一部は念波で怪蟲を操ることが出来るようで、調教をある程度すっ飛ばして道具として使っているようだ

人間陣営と魔人陣営と第三勢力

魔人なんていう設定の世界感だから、人間と魔人の激しい戦争の様子が描かれる戦記ものか?と思うと、全くそうではなくて

一応戦争中ではあるんだけど、もっと複雑にからんで停滞している状態が描かれている

人間側と魔人側の戦争が何百年も続いた後の世界という設定なので

その長い月日の中で人間陣営も魔人陣営も分裂と再編成を繰り返し

さらに魔人と人間が同じ軍を成している第三勢力が生まれては消えても経験し

それでも共生は難しいようで、だらだらとした硬直状態が続いているような感じだ

腐鉄菌

さらに、この世界では(詳しい説明がないので恐らくだけど)金属全般を腐らせる「腐鉄菌」というのが世界中に撒かれて

工業系の科学文明は成り立たなくなってしまっている

ただし、前述したように、だからといって人間陣営が完全敗北したわけではなく

金属を失っても、生き残った科学技術で武器や前述の怪蟲の改良などの研究分野を人間が担っている描写がある

どうやら、魔人と人間は技術の上では相互依存関係にあるようで

それが戦争の硬直状態ともつながっているようだ

この辺の描写はまるでどうあがいても戦争のなくならない現代のようで

作者はポストコロニアル的な思想をかじっているのでは?と勘ぐってしまうぐらい

ある種現代的で、設定の複雑さに陶酔できる

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主人公 不死者アンダー

そんな世界感の中で、さらに異質な存在

物理的にどんなに身体が欠損しても再生してしまって死なない「不死者」が物語の主人公

主人公はその不死者という状態を戦争に利用され、仲間に道具のように使われたことで

心を一度亡くしてしまい、生きる気力がまるでないまま

魔人の実験のために何度も何度も殺されては復活してを繰り返している所から物語ははじまる

超人機械

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2巻に入ってから、新たな設定の説明が成された

今続いている戦争や腐鉄菌が撒かれる前

その時代の科学文明の手で人類を超える人工知能「超人機械」が作り出された

魔人や怪蟲や不死者も恐らくその「超人機械」が生み出したモノらしい

しかし、生み出したのは超人機械の意志かどうかはわからず

超人機械は魔人と人間の戦争に関しても、全く関与せず、どこかに消えてしまった

同じ人口知能でも、人間の国としての判断全てを掌握して、相互に核爆弾を撃たせた

「火の鳥 未来編」の人工知能と違って、超常の存在として我関せず状態になるだろうというのは

最近の人口知能研究の知見を参考にしているんじゃないだろうか

2015年くらいからディープラーニングの進化から人工知能の行く末を案じる話題には事欠かないが

もし自らを自らよりも進化させることが出来る人工知能が生まれたら

人工知能は人間に敵対するのではなく、より高次の存在として我々がわからない内に操作できるシステムを作り

我々が牛や豚をなんとも思わないように、人間を見下すような存在になるのではないか?

という予想は誰が書いていたか、僕としてはヨルゲンランダースだった気がするけど間違っているかもしれない

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幼体成熟

魔人の中には、幼い内に成長が止まり、その代わり魔力が強いまま生きていける幼体成熟という人種がいて

彼らは成熟しても生殖行為は出来ないんだけど、その幼体成熟同士の恋愛?のようなモノが書かれたりもする

幼体成熟として生まれたモノの感情とか葛藤とかを結構詳しめに書き込んでいくのは

この設定レベルとか作者の作品への入れこみかたが違うけど

まるで僕の大好きな押井守監督作品の「スカイクロラ」のようだ

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現代的な正統派のSF漫画

意図してか意図せずかは知らないけど

堕天作戦は、架空の設定を使って、現代社会の構造や問題なんかを浮き上がらせる

正に正統派のSF漫画だ

淡々としたリズムで綴られているストーリーなのに

登場人物のゆっくりとした一言に思わず涙しそうになってしまうのは

社会の構造を浮き上がらせて、その中での感情の揺れ動きをリアルに描いているからだろう

堕天作戦、超オススメです

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1 個のコメント

  • 面白い考察でした。一点だけ、スカイクロラは映画版は確かに押井守監督作品ですが、原作は森博嗣です。設定などの点でスカイクロラと類似すると述べるのであれば原作側に準拠すべきだと思います。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。