3月は卒業シーズンですね
僕の仲間も卒業して、卒業旅行に行くということで
僕が大学院を修了するときにディズニーリゾートに行ったことを思い出した
ディズニーリゾートについては、僕の彼女が大好きなので、それで行ったんだけど、
想像以上に衝撃を受けて
その少し前に瀬戸内サーカスファクトリーのイベントに参加して、現代サーカス的の魅力に気付きかけていただけの僕を
完全にそちらの方面に向かわせるきっかけになるイベントになったので
ちょっとその話を書いてみようと思う
感情移入型パフォーマンス
僕は高知大学の奇術部でジャグリングとパフォーマンスをはじめて
京都大学大道芸倶楽部「ジャグリングドーナツ」のドーナツライブに大きく影響されてパフォーマンスを作ってきた
ドーナツライブはジャグリング界でもレベルの高い舞台として有名なんだけど
普通のジャグリング部の発表会と違って、舞台設定がしっかりとしていて
無言劇をしながら、途中にジャグリングのルーティンが入るっていう形の舞台だ
多分、ディズニー映画とかミュージカルなんかで劇の途中に歌が入るあの感じの、歌の部分がジャグリングだと思ってもらったらいい
例えば、僕の一番好きな2007年の場合は、西洋貴族風の館の主(あるじ)がジャグラーで、自分の館の前で鍵を無くして困っている
そこに偶然通りかかった2人の青年が偶然鍵を見つけてあげて、そのまま館に招かれるところからはじまる
館という設定を軸にして、執事がディアボロを披露したり、偶然やってきた旅人がクラブを披露したり
館の中の人形がなにかしらの力で操られた結果がポイの演技だったりと
設定に違和感がないようにジャグリングの演技を織り交ぜながらストーリーが進んで行く
違和感がないから、お客さんはしっかりと感情移入して見れるので
京大の持つ関西随一と言われるジャグリングの技術力を、余すことなく感動と共に体験出来るようになっていた
親和性で世界観を作ろうとした
僕は1年生の時にこの「ドーナツライブ」を体験し、自分でもそれを実現しようとしてきた
ジャグリングの技とそれの繋げ方であるルーティンをお客さんが盛り上がる方向で磨いていきつつ
一人でも作れる舞台設定を夢想して、それをなんとか組み合わせようとした
しかし、ジャグラーだけで構成されるジャグリングドーナツと違って高知大奇術部は基本的にマジックサークルだ
一人で作ることが出来る世界観には限界があるし、奇術部の発表会をどうこうするなんて求心力は僕にはなかった
仲が悪い同期もいたしね笑
そんな中で、僕は自然にジャグリング道具との「親和性」を軸に舞台設定を考えるようになった
最終的に僕は3年生の時の卒業公演的な舞台で、「道化師的な格好」をして「人形が動いている」という設定を使って12分くらいの演技を作ることになるんだけど
これは今考えれば、一人でやる場合はお客さんのジャグリングのイメージにかなり近づけないと、お客さんが感情移入できる世界観を構成出来なかったってことだと思う
それでも、先輩や見に来た人からそれなりの評価はもらってうれしかったし
試行錯誤して作ったから、それなりの迫力みたいのを持ってたと思う
行き詰まる
しかし、この方向性っていうのはある種行き詰まるものなんだ
今考えると、原理的に設定が限定されていってしまうモノだと思うし
実際僕は、どんな道具で演技を作ってみても、同じような世界観に収束してしまう病気にかかっていた
親和性の高いものを選んでいくと、世界観が似通ってしまって
同じような世界観の中で、より技術を高めて、よりお金をかけたほうが質が上がる状態になってくる
ディズニーリゾートの魔法
ディズニーはこの親和性の最たるものを使って、最もお金をかけているパフォーマンスだと思っている
僕が語る親和性というのは、世間一般のイメージと言ってもいい
多くの人に受け入れられやすい演技を作るために、可能な限り世間一般のイメージを利用する
ディズニーリゾートの視点から眺めてみると
ディズニーリゾートはその世間一般のイメージそのものを、アニメーション映画という系列会社によって作ってしまっているのだ
それによって、僕やドーナツがその舞台の最初に行う、キャラクターの紹介がいらなくなる
さらに、ディズニーリゾートは世界で最もお金を稼いでいるリゾートなので
世界観の作り方は理論も造型も完璧だ
マーメイドラグーンシアターの素晴らしさ
僕が一番ショックを受けたのはマーメイドラグーンシアターだった
今はもうリニューアルしているらしいのでわからないが
僕がみたのは、エアリアルパフォーマーによるアリエルと
劇団四季のライオンキングのような半人形の演者によるショー
演者は超一流パフォーマーだろう
しかも、ディズニーリゾートに入った時点で世界観に入る準備が出来ている上に
シアターがある場所は海の入り江を模したゾーンの中
みんなが知っているキャラクターを使って、舞台の造型も完璧で、一流パフォーマーが演じるんだから
感情移入系のパフォーマンスの1つの極致のように思えた
そこで戦っても仕方ない
このとき僕が同時に思ったのは、感情移入型のパフォーマンスは
それが、大衆向けであるがゆえに、お金を掛けて大規模化したモノ勝ちなんだろうってこと
それはある種、大企業が巨大な市場を形成するのと似ていて
高知大なんて底辺大学の出身で、どんなに頑張ってもドーナツライブを作れるはずもなかった僕が戦うべき場所は
多分ここじゃないと思った
そういうのは、もっと才能も努力の量も桁外れなエリートにやってもらえばいい
僕はもっとニッチなところを狙って、細々とでも特殊なモノを作っていったほうがいい
僕が創作パフォーマンスに移行した訳はここにある
そう思う2-3ヶ月前に、僕は瀬戸内サーカスファクトリーの企画に参加して
現代サーカスの一端を見せてもらっていた
それで、こっちのほうが面白そうだぞということで
moimoimoiや現在の活動を開始するに至っている
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