戯曲 ジャグラー演劇「テールポイ」

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登場人物

ディアボラーの男性

シガラーの男性

ポイスピナーの女性

ディアボラーの登場と導入

ボストンバックを持った男性が周りを伺いながら練習場所にやってくる

ちらかすようににボストンバックを地面に投げた彼は、ズボンのポケットから財布と携帯を取り出して無造作にバックの上に投げた後

ようやくボストンバックの中身を物色しだす

青いお椀が2つくっついたような形のディアボロを3つほど取り出して立てて置いた後

紐でぐるぐる巻きになってまとめられている二本のスティックを取り出した

手慣れた様子で紐をくるくるとスティックから外す・・・・彼はディアボロジャグラーなのだ

スティックを持ったまま特に根拠のないストレッチをした後、ディアボロの練習にかかる

普段の練習の時からいちいちポーズを決めて道具を扱っているジャグラーはまれだ

彼も無造作に、しかし、繰り返された動作が持つなめらかさと共に紐の上でディアボロを回転させだしていく

シガラー登場

ディアボラーがディアボロ1つのアップを終えて、2つめのディアボロを回しだした時に

大きめの、妙に角張ったかばんを持った男性がディアボラーの荷物の横に座った

かばんのチャックをあけて、バナナの皮をむくように生地を裏返して一気に下まで下げると

5つのシガーボックスが入っていた、色が統一されている所を見るとジャグリング歴は長そうだ

かいたあぐらの前にシガーボックスを並べて、前屈をはじめた時に

ディアボラーが技の途中で1つディアボロを落としてしまい、シガラーの存在に気付く

デ「おう、おつかれさん」

シ「久しぶりだね」

デ「どこがだよ!?2週間ぶりだろ」

シ「まぁ、関西の練習会行くとだいたい会うもんなぁ」

そこまで話すとディアボラーは転がっていってしまったディアボロを取りにだらだらと歩いていく

結構遠くにいってしまったようだ

シガラーは3つのシガーを持って立ち上がり、4・5回端返しをしたのち、すぐにレインボーループを始めた

ほんの10年前には大技だったはずの技が、もう車のアイドリングみたいな技になってしまった

技が続いている間にディアボラーが近くに帰ってきて、シガラーを見ながら言う

デ「お前のレインボーループ、あんまり綺麗じゃないよな」

シ「あぁん?」

シガラーの非難は気にせず、ディアボラーは荷物の横に座り込む

シガラーは失敗してレインボーループを中断してしまった

シ「お前がいらんこと言うから」

デ「ん?」

シガラーはシガーを拾って軽くディアボラーの方を向きながら端返しやひっつけの練習をはじめる

会話

ディアボラーは遠い目をしている、練習会の会場をぼんやりと見ているようだ

50人くらいのジャグラーがいるだろうか

デ「なぁ、ジャグリング女子ってさ・・・地雷多いよね」

シ「地雷?」

デ「病んでる感じのさ」

シ「あぁ、病んデレっぽい子は確かに多いよね、あとオタサーの姫みたいなのとか」

デ「だいたいポイやってるこに多くない?」

シ「わからんではないけどね笑」

ポイはおもりが付いた2本の紐を振り回しすジャグリング道具だ

デ「もっというとさ、こういう練習会で尻尾つけてる子はだいたい地雷っぽいよね」

シ「尻尾?・・・あぁテールのことね」

デ「あぁ、あのひらひらテールっていうんだ」

シ「いや間違ってないよ、テールって尻尾だし」

デ「ガチ勢は絶対尻尾なしのポイ使ってるじゃん?」

シ「でも軌道とかこだわってる人とかもいるんじゃないの?」

デ「いやぁ、僕の見る限りは尻尾付けてる女子で上手い人は見たことない、民族衣装ガチ勢みたいな人は別として」

シ「まぁ、エンジョイ勢というかサークル楽しみたい勢みたいな、練習しない女子にポイさせとけって風潮あるしねぇ」

デ「ポイで尻尾付けてる子は地雷だから気をつけろって後輩に教えるとかさ・・・」

シ「(食い気味に)なーんだそれ」

オチ

デ「ええ、いいと思うんだけどなぁ。あと練習会にスカートはいてきてる子は地雷だとか」

シ「あぁ、それは確実に地雷だね。オタサーの姫願望あるんでしょ」

デ「だよな、どんなにダサくてもジャージとかのほうがまだ練習しやすいし」

シ「確実にジャグリングしに練習会には来てないよね、ジャグリングが趣味ってだけで根暗な男を狩りにきてるのか」

デ「いや、チヤホヤされたいんだろ」

シ「例えばあの子はどう?」

視線をやると、女の子が2人の荷物から少し離れた所で座るのが見えた

デ「あぁ、あれは大丈夫でしょ、座っても全然チラリズムとかないジーパンだし」

女の子は最初にシガラーがしたように前屈でストレッチしだす

デ「バックは地味なスポーツバックだし」

女の子はかばんのチャックをあけて中を物色しだす

シ「ただ最近はそういう風に地雷じゃないっていうアピールをするためにワザとそうしてる子もいるみたいよ」

デ「えぇ、あの子は大丈夫でしょう。ちょっと清楚っぽいし」

女の子はかばんからテールポイを取りだした

シ「ほら尻尾だしたじゃん」

デ「ホントだ尻尾だした」

暗転

 

 

 

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。