四国高知県、四万十町在住のパフォーマー松葉川健一のついてのプロフィールや
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こんにちは四万十町在住パフォーマーの松葉川健一です。
今日、僕が着任している四万十町地域おこし協力隊の希望者で
四万十町の「下津井」という地域で運行している「ホタル遊覧船」に乗ってきたので、
ちょっとレポートを書いてみようと思います。
今回もちょっと自己満足の記事ですので悪しからず。
写真が撮れない風景
下津井のホタル遊覧船に限らず、ホタルの光というのは
実物を見たときの良さが写真に残せないモノだと思います。
カメラのシャッタースピードを調節するなどして、ホタルの光の軌道が描かれている写真をよく見ますが、
あれは、神秘的に見えますが、本来のホタルの光が持っている神秘性とは全く別物のように感じます。
なので下手に写真を撮って載せるより、わかりにくくても感想を書いておくほうが
自分としては感動を残しておける気がしていてこの文章を書いています。
遊覧船で異世界へ
遊覧船はまだ薄暗い状態で岸を離れていく
まだ藍色に見える青空と灰色のみなもをつなぐ色の無い森から、時折弱々しい光の点が瞬く。
少し目をこらすと、精霊の森人の主人公バルサがチャグムと野宿していそうだ。
幻想的ではあるけれど、絵画にするには色がなさすぎる、CGにするには鮮やかさがなさすぎる風景。
遊覧船が進んで行くごとに、色は失われて、代わりに光の点が多くなっていく。
ノイズだらけのStand alone complex
遊覧船が折り返し地点に着く頃には、光の数は100以上に見えた
一つ一つはたよりない光でありながら、微妙にズレながら共鳴する光は
規則正しく同時に光ったり消えたりしているように見えて、かつイレギュラーな光が多くて全く予想できない。
「1/fのゆらぎ」という言葉が頭をよぎる。
目をこらさなければ見えないような感覚なのに、多くの光の中にまるで自己主張するかのような光の線がよぎる。
ホタルの作るスペクタクルは、弱い光でじわじわと体の芯の部分を揺さぶる。
暗闇を走る水音
折り返しから帰る遊覧船は暗闇の中を明かりを付けず、
50m程度ごとに設置されている点滅する誘導灯のみを頼りに運行する。
ホタルがとても綺麗だけれど、あまりに暗くて不安になる。
「光は絶対出したらいかん、方向が全くわからなくなるき」
注意の声が聞こえたと思ったら、遊覧船は出発、加速していく。
結構なスピードが出ている水音が聞こえるが、さっきの声を聞いてから不安は極端に少なくなった。
発着場に飾られていた赤い提灯が見えてきて安心感が増す。
遊覧船は人々の敬虔な気持ちを纏ったまま帰ってくる。
天然スペクタクル
厚みが違うのだ
どんなに美しくLEDを配置してAIで自然に見えるように制御しても、
裏に回れば張りぼての薄っぺらい看板でしかないテーマパークと違って
ホタルが見え隠れする林の奥には、深い山が立体的に続いている。
どんなに効率よくアルバイトを研修しても
システマティックな整然とした安心感しか作れない夢に国と違って
暗闇を走る遊覧船は、操作するおじさんの作り出すアンバランスな安心感に包まれ、
ホタルが作り出すノイズだらけのスペクタクルを縫うようにすり抜けていく。
不用意に、人工的に、ホタルを放流するような場所とは違う、
本物のスペクタクルが、自然への尊敬と共に生きている。
素晴らしい遊覧船でした。
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