初任者研修記1 メーカー社員の僕が介護の資格を取りだしたわけ

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2017年のはじめにmoimoimoiを休止して

来年2月に向けて、一つ善照寺での企画の製作をはじめつつ

自分自身のことでは、お祈りなんかも始めたりしていたんだけど

実はひそかにもうひとつ、4月から始めたことがある

「介護職員初任者研修の受講」だ


介護職員初任者研修とは

介護職員初任者研修は

「介護についての最低限の知識と技術、介護を行う際の考え方を身につけ、基本的な介護業務が実践できるようになること」

を目的とする研修で、以前はホームヘルパー2級と呼ばれていた資格に相当する

介護職の入門的な資格と思って間違いない

資格といっても、国家資格ではなくて

計130時間の座学と実習を経て、最終試験に合格すると、都道府県から終了証が交付される

介護職員はセオリーとしては、初任者研修→実務者研修→介護福祉士→ケアマネージャー

という風にキャリアアップを目指すようだ

転職の予定はない

僕が受けている講座は、仕事をしながらでも取りやすいように、土曜日限定で授業があるコースだ

介護の仕事自体は制約があるだけで、初任者研修を修了しなくてもすることができるので

僕の他のほとんどの受講生は、既に介護の仕事に就いている人か

そうじゃない人も、これから介護の仕事に就こうという人だ

すると、僕も今の仕事に嫌気がさして、転職を考えているか?というと、そんなことは全然ない

 

僕は今の仕事にそれなりのやりがいを持っているし、待遇も妥当だと思っているので

特に今の会社を辞めるつもりはない

いくつかの事が重なって、介護という分野の知識と入門的な技術がとても欲しくなって受けたので

ほぼ、興味本位で受けているといっていい

では、そのいくつかの事とはなんなのか?覚書がてら書いてみる


世の人工知能ブーム

2015年くらいからここ2年ほど、人工知能のブームが来ていた

ディープラーニングと呼ばれる手法を使ったグループが、人工知能による画像認識コンテストで、けた外れの大差をつけて優勝したのをきっかけに

大手企業の注目と投資が人工知能に集まり、世間の人工知能への期待も高まっていた

それを受けて「人工知能の発達で10年後になくなる仕事」みたいな記事がたくさん書かれていて

コールセンターのような場合分けと親和性が高い職種に限らず、

これまで人間ではなければ難しいとされていた、ホワイトカラー的仕事やクリエイティブな仕事、人と直接接する看護や介護の仕事まで

人工知能とロボットによって仕事が奪われてしまうのではないか?という少し大げさな詮議がなされていた

気になっていくつか本を手にとって読んでみたけど・・・

[amazonjs asin=”4040800206″ locale=”JP” title=”人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)”] [amazonjs asin=”4062883074″ locale=”JP” title=”AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)”]

ネットの情報は結構大袈裟というか、むやみに危機感をあおるような内容が多いような気がする

ホワイトカラーの仕事が奪われる、もしくはその分野での人工知能と人の協力が進むのは確かに速そうだけど

直接人と接したりする看護や介護の分野は、なかなか難しいのではないか?というのが

ぼんやりとした僕のイメージだった

僕の平田オリザブーム

そんな僕のイメージをいっそう強くする事があった

同時期に僕は「平田オリザ」にドはまりしていた

演劇入門 平田オリザ著 読了 平田オリザのコンテクスト理論

平田オリザは現代口語劇の創始者で

豊富な海外での演劇創作のノウハウを生かした、演劇を通じた教育や文化活動に関する講演やワークショップなんかで有名なんだけど

[amazonjs asin=”4062883635″ locale=”JP” title=”下り坂をそろそろと下る (講談社現代新書)”]

面白いことに、この先生は最近、大阪大学でアンドロイドの研究をしている石黒浩と共同研究をしていて

アンドロイドと人間を演者にした「アンドロイド演劇」を作っている

僕は今年の2月に坂出で上演された「アンドロイド演劇 さようなら」を見に行ったんだけど

この公演終了後にあった、坂出市市長と平田オリザ本人とのアフタートークで非常に興味深い話を聞いた

「コンピューターはまだまだ文脈を理解するということが不得手なので、そこは長い歴史を持つ演劇のほうが、まだノウハウを持っている」

アンドロイド演劇は平田オリザが全面監修して動作や声を出すタイミングなどをプログラミングしている

生身の役者とアンドロイドのやり取りにおける、動作や発話のタイミングを可能な限り自然にしていく作業は

「芝居がかった演劇」から脱却しようと現代口語劇を作った平田オリザにはもってこいの仕事だろう

そして、その自然さのためには、その言葉を発している役者なりアンドロイドなりの役どころの背景=文脈を考慮することが不可欠になってくる

その文脈を理解してしまうまでのAIを作るのには、いかにディープラーニングの応用が発展してもまだまだ時間がかかるように思う

介護への応用はまだまだ遠い気がする

この平田オリザと石黒浩の研究が最先端かどうかなんてのは、わからないし

石黒浩はアンドロイドという人間に模したロボットをメインにしているので

もしかしたら、もっとはやく人型でないロボットで実現する可能性というのはあるとは思うけど

上記のアンドロイドのある種の最終到達点である、「文脈を理解してそれを会話や動作というハードなで落とし込めるAIやロボット」という段階まで来ないと

AIやロボットが介護みたいな仕事を奪うというところまでは行きつかないと思う

逆に、平田オリザが演劇を通して教育や文化に関しての活動を行っているのと同じように

介護の分野の知識が教育や文化に関わる上で大きな参考になり得るのではないか?という気がしてきた

それは、僕が今サーカスに関わって面白味を感じている部分に非常に近い気がする

演劇の世界に飛び込むのは正直怖いけど、介護の勉強や実習であればハードルが低い

それに、(すぐ下で書くけど)介護の知識に対してはかなり肯定的な欲求があった

それで、介護という仕事の知識に大きな興味が出てきた

おばあちゃん

アンドロイド演劇を見に行ったのと同時期に

僕は栃木にある母方のお墓参りにいってたんだけど

小山のおばあちゃんと手打ちそば満留賀(まるか)

かなり久々におばあちゃんとのんびりお話した

おばあちゃんはすっかり体が小さくなってしまっていて

全ての動作がすごーくゆっくりなんだけど

話している内容は昔の通りに自分に厳しく孫に甘いおばあちゃんで

直感的に、こういう時に寄り添って支えてあげたり、危なくないように動作を手伝ってあげれたらなぁって思った

ゆるゆると歩いて出迎えてくれて、昔ながらの掘りごたつに座るまでのその動作を

横から支えてあげたいんだけど、どうやっていいかわからない、下手をして怪我をさせてもいけないし

そんな気持ちがわき上がってきて

最後にさよならするときに「それじゃあまた来ますね」って言いながら、座っているおばあちゃんの両肩に手を置いたんだけど

あれは正しかったのだろうか?

4月~7月まで

だからといって、母方の実家のある栃木に移住するとか、そういう訳でもないんだけど・・・

介護の知識への肯定的な欲求があって、それがどうも僕の活動の1つであるパフォーマンスとつながりそうだぞといことで・・・

そんな感じで、いくつかの事が重なって、4月から7月までの土曜日を初任者研修にあてることに決めた

ただでさえ、月1くらいのペースでしか会わないのに

土曜日がつぶれるこの研修をOKしてくれた彼女にはとても感謝している

 

(実はもうすでにいくつかあるんだけど)

せっかく、研修を受けていくのだから

研修の間に考えたこと、思いついたこと、興味深い知識なんかをまとまり次第更新していこうと思う




 

 

 

 

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。