養老孟司「遺書。」読了 唯脳論より軽いけど、バカの壁より味がある

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久々の読書は養老孟司

最近身の回りのことが結構激しく動いていて

なおかつ、サーカスフェスティバルに演者として参加していたので

読書は後回しになっていて、結構積読本が増えていた

ようやくフェスティバルが終わって、そろそろ読書でもしようかという1発目がこれだった

久々の書き下ろし

養老孟司は「バカの壁」という本で15年前くらいに大流行した作家だけど

この「バカの壁」という本は本人が「語り下ろし」と呼んでいる形式で作られた本だ

要は、養老孟司がしゃべった言葉を編集者が本にしていて

本人がうんうん唸ってペンを走らせているわけではない

しかし、養老孟司の思想には力強い幹が走っているようで

各論、いわば思想の枝葉の部分からその幹へと到達する感じが

本人のアナラジーの巧みさとともに、とても小気味よい

唯脳論は読みにくい

そういう「語り下ろし」の本をいくつもいくつも出しているんだけど

養老孟司はもともとは自分の書き下ろしで本を書いている

代表作は「唯脳論」だ

この本がかなりの難物で、バカの壁から始まるー壁シリーズの神髄の部分をかなり如実に書いているのだけど

いかんせん、養老孟司の本業の解剖学の知見が深めで、思想への絡み方も複雑なので読みにくい

とても面白いんだけど眠くなってしまうタイプの本だ

遺書。はハイブリッド

しかし、唯脳論とバカの壁をどちらも読むと、やはりというべきか養老孟司の作家性のようなものは

確実に「唯脳論」のほうに感じられる

僕が説明できる範囲で例えると、ロジカルな世界にメスを入れるような言説を

ロジカルに論じている自分を失笑しているような、ある種の冷たいユーモアが文章の隅に出ている

 

今回の遺書。は、新書という形で出ているので、唯脳論ほどの難しさはなく

すらすらと読める感じではあるんだけど、その分バカの壁よりも作者の文章の味が出ている

バカの壁をすらすらと読んで「目から鱗!」なんて思った人には軽い違和感があるかもしれないけど

そこで養老孟司を感じると面白い本だと思う

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。