今の日本ではお年寄りに親切にするのはだいたい美徳とされているけど、反面やりすぎ注意と言われている
電車でお年寄りに席を譲ったり、重そうな荷物を持ってあげたり、大きい道路を一緒に渡ってあげたり
道徳の教科書でこれらの事が美徳として教えられている一方で
そこまで手伝いが必要ないお年寄りが逆に迷惑したり、すれ違いから諍いに発展してしまったような話もよく聞く
ただ、声をかけて断られたら潔く(?)引き下がればいいだけの話で
声をかけること自体は悪いことではないと思う
でも、その声をかけること自体も少し気を付けなければいけないよーって話
ケアマネの講師さん
僕が受けた初任者研修の最初の2日の講師はケアマネの資格を持っている方で
数年前まではグループホーム(認知症対応型生活介護)でバリバリ働いていた方だ
僕の今の会社でメジャーな資格である、公害防止管理者なんかはペーパーテストの結果で資格がもらえるので
実際に業務に関わらなくても資格が取れる、ペーパードライバー的な人を許容してるんだけど
介護の資格は、介護福祉士(3年)にしてもケアマネージャー(介護福祉士を取ってから5年)にしても実務経験が必要なので
この先生をはじめとして、介護の資格を持っている人はみんな、工業系でいうところの「現場からのたたき上げ」だ
「後ろから声をかけてはいけない」は鉄則
なので(この先生が特別うまいのかもしれないけど)座学の授業も、教科書を読み上げるだけの退屈なものではなく
先生の実務経験を踏まえた、実例と見解が多く入り込んできて非常に興味深い
その先生が2日間の間で何回も言っていたのが
「介護の現場では、(後ろから声をかけてはいけない)は鉄則です」ということだった
声をかけるだけで事故が起きる
どういうことかというと、お年寄りの特に認知症の方は身体能力や判断能力がどうしても鈍っているので
後ろから声をかけるだけで、思わぬ事故につながってしまうことが多いということだ
例えば、歩いている利用者さんに後ろから声をかけたら、こちらを振り返ったときにつまずいてしまって骨折してしまった、とか
食事中の利用者さんに後ろから声をかけたら、食べ物がのどにつまって苦しみだしてしまった
というような事が平気で起こるらしい
気に留めていないだけで・・・・
これについては、僕も結構経験があって
今の僕の職場には50代60代の人が多く一緒に働いているんだけど
そういう方に後ろから声をかけたら、こっちが驚いてしまうくらい相手をびっくりさせてしまった
という経験は何度もある(僕の影が薄いせいもあるかもしれないけど)
僕は人見知りが激しいので、知らないお年寄りに親切で声をかけるっていうのはあまり経験がないんだけど
親切で声をかけただけなのに、相手をびっくりさせてしまったり、骨折させてしまったりしたら、とてもやりきれないと思う
でも、実際に「後ろから声をかけるのは危ない」って知っていなければ、そういうことが起こる可能性ってのは低くないのだと思う
日常生活でも声掛けは姿が見える場所から
なので日常生活でも背中を向けている人、特にお年寄りに声をかけようという時は
相手を追い越して、姿が見える位置まで移動したうえで、声をかけるようにしたほうがいい
漫画のゴルゴ13の主人公は「俺の後ろに立つな」なんて、常に危険に身をおいている立場から言っているけど
比較的平和な世の中の平和な日本という国に生まれた僕らは、常に他人を思いやって自分をオープンにして生きていけばいいと思う
そのコツとして、「後ろから声をかけてはいけない」を心に留めておくのは重要なことだと思う
コメントを残す