創作パフォーマンスに拠点施設が必要な理由

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moimoimoiを通して、約2年間創作パフォーマンスに取り組んだ結果

気づいたことや、思っていることは数限りない

なかなかまとめるのは難しいとはいえ、ちょっとずつでも文章化していこうと思っているんだけど

その中で、今回は

「創作パフォーマンスにおける拠点施設の必要性」について書いてみようと思う

moimoimoiの紹介と創作の方向性

3人のそれぞれのフィールド

moimoimoiはジャグラーの山本健一、人形遣いのしらさわちさと、音楽の取注(ナガサキマキ)の3人で構成されている

僕は大学のマジックサークルでジャグリングを学んだので、大道芸とはちょっと違って、1人でジャグリングのみを使った5分くらいの演技をメインのフィールドにしてきた(奇術部の発表会はそれのオムニバス)。

しらさわさんは、人形劇団プークにて劇団員をしていたので、人形を使って多人数で30分から1時間以上にわたる芝居をするのが、今のパフォーマンスの創作でも土台になっていると思う。

取注さんは、パフォーマンスでいうと、3-6人ぐらいのバンドでの演奏が主な活動なので、舞台全体の形としては、僕がやっているような5分くらいの曲のオムニバスがをやっているんだけど

僕と違って、多人数で合わせて一つの演奏を作り上げるっていう意識があるから、ちょうど2人の間くらいがメインフィールドになっていたと思う。

2015年セトラピストでの山本と取注の演技

 

コンセプトはなるべくアイデアをつぶさずにまとめること

2人に声をかけた当初は、僕が脚本演出みたいな感じで、こういう演技がしたいっていうのを提示した

僕が自分の中で構成したモノを2人に提示した形

でも、それをそのままだと、3人の感覚の差やテクニカルタームの行き違いなんかで行き詰っていったので

途中から、演出についても、僕が2人の意見をつぶさないようにしつつ、なんとかまとめていく形に落ち着いた

それが1回目の公演の3-4か月前だったと思うけど

そのころから、3人のそれぞれの手法をつぶさない様にどうやってまとめるかっていうのがメインの方向性になっていったと思う

2015年の創作風景

 

共通言語の獲得が必須

そのような公演を作っていく中で必須になってくるのが

なるべくはやく共通言語を共有するということだ

僕がmoimoimoiの面白さを人に語るときによく話すことがある

「僕が最初、科学研究バリのプレゼンで細かく説明しても2人は全然理解してくれなかったけど、鉛筆で書いた絵を見せたら、ほぼ僕の思っていたモノが出来てきた」

僕はだいたい絵なんてのはこれまでの人生でなるべく書いてこなかったから、とてつもなく下手なのに

それでも、そっちのほうが2人の理解は断然はやいし、正確だ

創作パフォーマンスは言語のずれと隣り合わせ

上記の例は、僕が大学に大学院も含めて6年も行っていたロジカルへの信仰と

感覚の仕事は直接感覚で表現したほうがはやいっていう劇団員やバンドマンの仕事術がぶつかった

非常にわかりやすい例だけど

同じ日本語を使って同じパフォーマンスの事を言っていても、言語感覚のズレっていうのが確実にあって

それは、それぞれが所属してきた団体(奇術部だったり人形劇団だったりバンドだったり)での経験の差なのでどうしても出てくる

なまじ、同じ日本語で同じパフォーマンスの事を語っているので、相手も同じ言語感覚を持っていると錯覚しやすくて

moimoimoiの創作中も、そういう言語のすりあわせをしないままメッセージなどでやり取りした場合

だいたいケンカになった

創作中の言語感覚のズレは創作でしか摺り合わせできない

=創作施設の存在が絶対に必要

メッセージにしても書類にしてもプレゼンにしても図にしても絵にしても、会わないことにはこの言語のズレの修復は不可能に近い

実際に流れに沿って一緒に動いてみたり、実際に道具を使って感覚を共有しないことには摺り合わせは出来ない

だから、実際にあって稽古をする場所の存在が重要なんだ

moimoimoiでは、いつからか高松市立東部運動公園の会議室がホームになっていて

月1で集まるように日程を調整していたから、一昨年の自主公演も今年の作品もなんとか形になったようなもので

それがなかったら、まず始まってすらいなかったように思う

場所があるから創作が生まれる

そこからの逆説的な話になるけど

そうやって、摺り合わせしなければいけない言語をそれぞれが持っているからこそ、創作パフォーマンスの意義があると思う

僕の頭の中にあるものを、ただしらさわさんと取注さんを使って実現するのであれば

2人に1年ずつ弟子入りして、技術を盗めばすむことだし思うし

そういう意味で、創作施設があることそのものが、創作が生まれる第一条件のような気がする

瀬戸内サーカスファクトリーについて

とんでもなく幸運なことに、瀬戸内にはそういう創作の拠点を香川に作ろうという団体が存在していて

瀬戸内サーカスファクトリーとおっしゃるんだけど

2011年頃から積極的に活動していて

フランスと東京からアーティストを呼んでの地元アーティストとの創作公演に始まり

去年は地元の鳶職さんを巻き込んで、空中芸用のトラスを鳶職さんと設置できるようにしたり

過去2回サーカスフェスティバルをも開催している

何を隠そう僕たちmoimoimoiもこの瀬戸内サーカスファクトリーのパフォーマンスにて出会った3人だ

創作施設について

非常に多面的な活動から、現代サーカスのプラットフォームを目指している瀬戸内サーカスファクトリーだが

僕個人としては、上記の経験から、なるべくはやく、創作施設を持っていただきたいと思っている

僕らのように、せいぜい僕のジャグリングで多少高さがいるぐらいの団体だけでなく

空中芸のアーティストや綱渡りなど、多様なサーカス芸の創作が可能になる施設を持つということは

とんでもないことだと思うし、そんな条件に合う施設が果たして瀬戸内にあるのかもわからないし

責任を持っていない人間がワーワー言っているだけではあるんだけど

地元に創作を文化として根付かせようという意志が固いのであれば、

新たにアーティストを育成したり、移住を求めたりするのであれば

施設の有無がその重要な鍵になってくるのは間違いないと思う

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。