この年末年始に5冊ほど本を読んだんだけど
そのうちの2冊に似ている価値観があったのでちょっと文章にしてみる
読んだ本は以下の2冊
押井守「凡人として生きるということ」
攻殻機動隊1作目やイノセンス、スカイクロラの映画監督
この人の文章はとてもとても波長があうので大好きだ
押井守の凡人というのは、真理を探り続けることによって、流行やデマに惑わされなくなった人のことだ
「若さには無限の可能性がある」なんてデマに流されて、大量生産の服を身にまとうことで個性が発揮できると勘違いするみたいに
経済活動促進のための仕組みに取り込まれて、無知な消費者に堕していることにも気付かずに
自分の中のありもしない価値が眠っていると思い込むよりも
自分が凡人であることを受け入れて、自分が本当にやりたいことを地道に実現していくことで
自分の価値や個性を発揮していこう
それが、凡人として生きるということだ
嘘が見抜ける自由な凡人こそ、最も幸福で最も刺激的な人生が送れる
堀江貴文「ゼロ」
みなさんご存じホリエモンが出所後に出した一発目
逮捕されて会社も信用も失ったホリエモンがなぜ社会の表舞台に再び出ようとするのか?
これまでのホリエモンの自伝から、その理由を説明していく
ホリエモンは情報のプロだ
昔気質で貧しい、結構ダサい感じの両親から生まれたホリエモンは、幼いころから百科事典を心の友として育って
知識とプログラミングの技術を元にコンピューターとインターネットの力に気付き
その力によって、頭の固い両親から離れるために東大に入り、情報を仕事にしていく
ホリエモンはよく、カネの権化みたいな扱いをされているけど実際はそうでもないと思う
仕事に使う武器が「情報」というホットでスピードが速い性質のモノだったから成功しただけだ
大量の情報を扱って速いスピードで物事を進める様が、倍々ゲームをしているように見えるけど
ホリエモンの感覚では、やっているのは掛け算ではなく、足し算だ
情報を扱っているから、足していくスピードがとてつもない速いかもしれないが
少しの力で自分を何倍にも見せる掛け算的な手法を探してやっているのではなく
自分自身に小さな1を大量に足し合わせているだけだ
だから、逮捕されてすべてを失ってゼロになったけど
また足していけばいい
掛け算的な方法をしていると、社会の流れでいつまたゼロになるか怖くてしかたないけど
足し算的に自分を高めていけば、そうそう簡単に失うことはない
凡人≒ゼロ
この著者の2人、まったく経歴が違うけど根本に似た哲学のようなものがあると思う
まず、この「凡人」という概念と「ゼロ」という概念の類似性
押井守は若さは価値というデマを、ホリエモンはネットが掛け算という夢をあげつらって
社会が個人に対して「自分を虚飾で固める」ことを強要していると指摘している
それに騙されずに、自分に1を足していくことのみが、自分の価値や個性を磨いていくことになると理解できる
仕事は社会へのコミット
あと2人とも仕事による社会へのコミットにこそ、喜びがあると語っている
この2人は、いわゆる世間から「オタク」と言われる性格の持ち主で
押井守は高校時代に朝ヒッキーをやっていたようだし、ホリエモンは球団買収をしようとしたあたりまで女性との会話が苦手だったらしい
でも、2人とも仕事という目的があれば、何の問題もなく会話できた
単純に人間嫌いなのか、それとも目的もなく話す必要性を感じていないだけなのかの違いは
はたからは、同じように「オタク」としても見られていてもだいぶ意味が異なってくる
かくいう僕も、目的がない会話というのはなかなか出来ない方で
興味がなくなると黙ってしまうことも多く、この行動には非常に共感できる
話す必要性を感じないので、話すことができないんだ
社会が作り出したデマや流行を信じられる人間は、それだけで他人から認められている感覚になれるから
目的のない話をしていても、なんの不安も感じないし、いつまでもそんな話をしていられる
でも、真理を探究してて、それを信じられない人間は、目的がないのに話したところで
経済活動に踊らされている愚かさを感じるだけで、その必要性を感じない
仕事という形で社会にコミットして影響を及ぼしていくことだけが
自分自身の価値の証明であり、それこそが社会性の中で生きる人間の喜びの源泉だろうということだ
生き方の選択を保留しないで生きること
自分の価値を高めるために、凡人=ゼロである自分を受け入れて
そこから何ができるのかを本気で考えていくこと
デマや流行に騙されて、「若さは価値」「おれはこんなもんじゃない」なんていって
生き方の選択を保留していくと、結局自分の価値を人に任せる状態になり
デマや流行の流れが変わった瞬間にすべての価値を失う羽目になる
だから、常に自分で考えて選択していくことが重要だ
そんな2人の根底にある哲学が感じられた2冊だった
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