ジャグラーは何かを解体できるのか?

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SNSで増加するジャグリング論議

この頃のんびりとツイッターなんかをのぞいていると

ジャグラーの間でちょくちょく論議がなされているような雰囲気が流れてくる

少し前はジャグリング×演劇だったり、ジャグリング×ダンスというような

ジャグリングと何かしら他のジャンルを融合することについての是非が論じられていたようだし

ジャグリングの技術や難易度、審査基準なんかについては

何かしらのイベントがあるごとに論理が加熱と冷却を繰り返しているように見える

上記の2つはジャグラーの中で、主流な発表の場になっている例だと思うんだけど

一昔前だったら、この2つについてでも、ここまでの活発な論議っていうのは少なかったように思う

ジャグリングは多様化中

僕がジャグリングを始めたての10年前でも、まだ「技術派か演技派か?」というぐらいのものだったと思う

これが上記の2つの例に対応している訳だけど、昔は2つに分かれていただけだったのが

今はその2つのそれぞれの中で、活発な論議が行われていることになる

それは何故かというと、色々な要因があるとは思うんだけど

かなりざっくりとらえると、世の中が多様化を是としてきたのに合わせて

ジャグリングとの付き合い方も多様化していることが大きいと僕は思っている

体系を作るべきか

だいたいが、ジャグリングというのは結構大きなくくり方だと思う

ジャグリングにはいわゆるスタンダードと言われるボールやクラブだけでなく

ディアボロやデビルスティック、ポイ、皿回しなども含まれる

イメージで言うなら、鉄棒や床、平行棒などをまとめて「器械体操」と呼ぶような感じだ

ただ、器械体操はそれぞれの種目別で争うか、何種目かの合計で争うけど

ジャグリングの大会は(これまでの流れは)種目を区別せずに評価する

極端に言うなら、鉄棒の10くらい技がある演技と、跳馬の1技の演技を、同じ土俵で評価してしまうようなものだ

それでは評価できないということで、WJFという団体はジャグリングのスポーツ化を目指す団体として

道具をボールリングクラブのトス系に絞り、かつ道具別で評価を行っているし

日本でもシガーボックスのみのシガー大会という大会が出来たりしている

技術者よりかも

ただ、この方向性というのはとても重要なんだけど、ある種技術者よりというか職人よりというか

今出来てしまっている環境に対して、しっかりとした体系を再定義して作っていくという考え方は

周りにある大量の部材からぴったりと合う部材のみを選んで、コツコツと構造物を作り上げるような作業だと思う

情報を集め続けて自らも実験してかつ精緻な論文として発表していく研究者のような誠実さがいる

根気も誠実さもない僕にはとても参画できそうにない

でも、僕がだらだらと最近考えているのはこういう考え方とはちょっと別のところで

ジャグリングがパフォーマンスである、という所を利用すれば

何かしらが解体できるのではないか?ということだ

フェミニズム

フェミニズムというと、なよなよした男の事を指すこともあるようだけど

本当の意味は、「性差別をなくすための女性の運動」とでもいうことになると思う

特にパフォーマンスによってフェミニズムを実践しているアーティストは

「女性の身体を取り戻す」パフォーマンスを行うことで男性の視点から作られた概念を破壊する

デモでブラジャーを焼く、自分の膣内を一人ずつ観客に見せるなどのパフォーマンスをすることで

「女性の美しさ」の概念自体が、男性の視点から作られているもので

それがまるで全ての世界の真理であるかのごとく思っている人々の意識を解体してしまう

パフォーマンスは実際に場所と時を同じくしたパフォーマーが「いる」ということによって

パフォーマンスに参加した人々の意識を劇的に変えて

いままで空気のように自然に感じていた「人の作った環境」を解体していく

ジャグラーは何かを解体できるか?

ジャグリングもパフォーマンスとして行うことも出来るので

ジャグラーもフェミニストのように何かを解体することができるのではないだろうか?

具体的に言えば、日本人がなんとなく持っているジャグラー像

カラフルな服を着て、その場を盛り上げてお金を貰って、ものつくりの会社員よりも立場が少し下にあるような

さらにその中には、5分くらいのルーティンとか、まとまった構成とか、演劇との親和性とか

そういう概念も含まれていると思う

それを解体するようなパフォーマンスを行っていくことが

結果的に、昨今のジャグリングとの付き合い方の多様性を包みこむことになるのではないか?

そんなことを考えつつ、現代サーカスとの関わりをしっかりと持っていこうと思っている

僕はジャグリングの大会出場経験もないし、卓越した技術力を持ったジャグラーでもないし

地方にいるから仲間もそんなにいないし、作品を作るスピードもとても遅くて、たいしたモノも作れないんだけど

なんとなく、こういうビックピクチャーを描いていると、ジャグリングとパフォーマンスを続けられる気がしている

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。