ボランティアでショーをするのが何故いけないか?(地方限定)

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四国高知県、四万十町在住のパフォーマー松葉川健一のついてのプロフィール

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中四国大道芸人の飲みに混ざった夜

少し前に中四国の何人かの大道芸人さんと食事する機会があった

基本的にみんな馴染みの仲間だったので、バカ話したり、盛り上がったりだったんだけど

その中で、「学生サークルが出演依頼でボランティアの依頼を受けるべきか?」という話題が出た

それぞれの人が忌憚のない意見を言っていて、非常に面白かった

サークル運営をうまく回すために、ボランティアも受けていくべきという立場や

本人たちのやる気やモチベーションを高めるためにボランティアは絶対に受けてはいけないという立場など

同じ大道芸というフィールドにいるとはいえ、経歴や年代が違うからか

結構、意見が分かれていた

僕は学生サークルの出演依頼について興味がないんだけど

どちらかというと、ボランティアの出演依頼はあまりしないほうがいいという立場だ

それが何故よくないと思うのかちょっと整理してみる

香川の出演依頼は増えているらしい

僕は、香川大学手品サークルメルシー笑クラブと香川高専ジャグリング同好会SPOTなんかと多少関わりがあるんだけど

その2つの学生サークルと香川の大道芸人とっしゃんさんなんかの意見を総合すると

ジャグリングやマジックのショーの出演依頼はここ3-5年くらい増えているらしい

これは予想でしかないけど、瀬戸内国際芸術祭や瀬戸内サーカスファクトリーなどが出来たおかげで

香川では最近パフォーマンスに触れる機会が増えているから、その影響だと思う

依頼は玉石混合

芸術祭やファクトリーなどの直接息のかかった依頼が増えているなら大した問題はないと思うけど

そういう世の中の流れに釣られて来た依頼というのは、往々にして企画者がパフォーマンスの価値を低く見ている

通常の市場であれば、飽和状態になれば値段が下がり、依頼に対して担い手が足りてないなら値段が上がるはずなのだが

飽和状態の都会ならともかく、担い手が足りないはずの地方でも、パフォーマンスに対してボランティアを期待する企画者というのは多い

それは、地方の文化レベルが低いからだと思う

「文化レベルの低い所ほどこういう立派な会館建てるんだよな」とは立川談志の言だが

そんな立派な会館を立てる金があるなら、文化の担い手である自分や落語界に寄こせということだろう

文化に対して価値を見出せないから、わかりやすいハコモノに金を使って、文化人に馬鹿にされる羽目になる

ボランティアで依頼をする企画者というのは要は文化レベルが低いんだと思う

地域の身体的文化資産が増えない

そのボランティアの依頼を受ける方も受ける方で

自分の芸に責任感と誇りを持っていることは少ないから

依頼の増加と共に香川では、責任感と誇りを持たないパフォーマンスが増加することになる

そうなると、香川全体の文化レベルが下がってしまう

極端な話で例えるなら、ジャグリングを初めて半年のジャグラーの大道芸と、その道30年のパントマイミストの大道芸を区別することが出来ない人が増えてしまう

社会学の用語で、金銭による以外の学歴や文化的素養のことを「文化資産」というが

この文化資産は本物の質の高いパフォーマンスを見なければ育たない

質の高いパフォーマンスには、芸に対する責任感と誇りが必要不可欠だと思う

都会

これが都会だったら、文化レベルの低い企画者はおそらく仕事にすることが出来ないだろうし

増える以前にイベント自体が豊富で担い手も飽和状態に近いだろうから

自然と本物のパフォーマンスを見る機会が多くなるので

観客とパフォーマーも文化レベルが高いので問題は起きない

これはある種地方限定の問題だともいえるし

昨今のジャグリング界で、ジャグリングを交えた舞台が東京京都大阪で乱立する一方で

地方ではとんと聞かないのは、こういうシステムが絡んでいることだとも思う

だからなんだということも・・・

だからボランティアの依頼に行くな!とか

だから大道芸人はもっと学生に説教するべきだ!とか

そういう極端な話をしたいわけではない

僕は学生のジャグリングや大道芸については、そこまで興味がない

僕は大道芸人でもないし、依頼も人づてで面白そうなのしか受けないし

 

でも、この「文化資産」の観点からみると

瀬戸内サーカスファクトリーの仕事や、この前紹介した今度のカタタチサトさんのソロ公演なんかは

創作パフォーマンスを感じにいこう カタタチサト新作公演「ぬぐいぬち」

 

とてつもなく大きな意味があることで

大道芸人の方々にもそちらの活動にも目を向けてもらって、出来ればこっちにも寄ってきてほしいなぁ

なんて思っているだけである

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。