約2年間moimoimoiとして異質な3人での創作パフォーマンスをしてみて
瀬戸内サーカスファクトリーの行っている、フランス人アーティストを呼んだ滞在制作の妥当性というものを感じたことがあるのでちょっとまとめてみる
瀬戸内サーカスファクトリーの企画は滞在制作が多い
瀬戸内サーカスファクトリーは2012年の100年サーカスを皮切りに毎年公演を企画している
その多くが、アーティストが瀬戸内に滞在しながら創作を行う、「滞在制作」を伴っている
これは、ファクトリーの代表の田中未知子さんの「瀬戸内に現代サーカスの聖地を作る」というようなビジョンと関係していて
ファクトリーが、瀬戸内に創作を行う土壌を作ること、を念頭に置いて活動していることに由来していると思う
公式の公演アーカイブを見ても「滞在制作を行い」とえらくあっさりと書かれているけど
元々、そのアーティストが長い時間をかけて作り上げた作品をそのまま持ってくるのではなく
アーティストを集めた後に、1週間~1か月ほどアーティストたちが瀬戸内に滞在して、作品の一部を作ったり、場合によっては1から作り上げたりしている
こういう機会は、日本を見まわたしてもそんなになくて、日本全体としても珍しい啓発活動にもなっていると思うけど
一般の感覚からしたら、集まって1週間やそこらで作品が出来るのか?それはいいものなのか?っていうのが疑問だと思う
それでファクトリーも大衆向けの媒体ではそこまで滞在制作を押していないのかもしれないけど
僕は自分の経験から、この期間については非常に妥当だと思っている
moimoimoiの制作期間
moimoimoiは最初の1年で約30分の自主公演を行った
おもしろかったかどうかは別として、完全にオリジナルの物が仕上がったとは自負している
これを鑑みて、やっぱり創作には約1年ぐらいの期間が必要かというと
そうでもないと思う
moimoimoiは僕が会社員なのをはじめとして、3人ともパフォーマンスとは別の仕事を持っているので稽古は月1回か2回しか行っていない
制作期間は1年だけど、実質は月1回×12で12日
本番に近づいた2か月くらいは月2回稽古したので、12+2=14日
つまり合計すると約2週間で作ったことになる
2015年の創作の様子
2週間あれば化学反応は起こせる
僕なんかは、本当に普段のほとんどは会社で事務作業をして生活している普通の会社員だけど
そんな僕が入っていても、moimoimoiは約2週間でオリジナルの作品を作ったことになる
これが、普段のほとんどをパフォーマンスに充てている人の集団をプロの現代サーカスの演出家がまとめれば
1週間でオリジナルの魅力的な作品が出来てもなんら不思議ではない
実際、瀬戸内サーカスファクトリーの公演はそういう化学反応が起きた後の圧力のようなもので満ちている
期間を絞った方がまとめやすい
また、人間の時間はよくも悪くも止まることがない
moimoimoiの1年の制作期間のうちに僕自身の心境も変化したし
それぞれの家庭の事情、経済状態、精神状態は常に変化していた
創作っていうのは不思議なもので、そういうのがそのまま創作に出やすい
そのため、最初に考えていたやりたいことから各々の考え自体が二転三転して
まとめることが非常に難しい状態になっていた
言語感覚のズレを言い訳にして、僕がそれを諦めた結果、2年目の作品はまとまりがなくなってしまい
2人の魅力は散在しているが、僕の爪痕が何も残らない作品になってしまった
そういう意味で、滞在制作は期間が必要以上に長くはならないので
それぞれの共通言語さえ見つけてしまえば、まとめやすい状況になっていると思う
ぜひ瀬戸内に来てください
moimoimoiでの創作の経験から、瀬戸内サーカスファクトリーの滞在制作の妥当性を論じてみたけど
どうだっただろう?
こういう好ましい状況を瀬戸内サーカスファクトリーは積極的に作ってくれているので
少しでも興味のあるアーティストさんにはぜひ、瀬戸内サーカスファクトリーの企画に参加して、瀬戸内を訪れて
しがないサラリーマンの僕に、新しい世界を目撃させていただきたいと、いつも思っている次第である
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