押井守の本を一通り読んだ後
立川談志が気になって本を読んでいる
今回は立川談志が落語協会から抜けて家元になる前からの弟子であり、存命中に破門にもなっている快楽亭ブラックによる
立川談志の正体
[amazonjs asin=”4779117577″ locale=”JP” title=”立川談志の正体―愛憎相克的落語家師弟論”]立川談志礼賛本に待ったをする
間違いなく大半は礼賛本になるだろう。
しかし、それでは落語家にとって「シャレ」にならない。
(立川談志の正体 帯より)
この帯の紹介に惹かれて読んでみた
立川談志は評価が真っ二つに分かれるというが
果たしてどんなものだろうと、落語を知らない僕は
赤めだか、立川談志自伝狂気ありの2冊を読んで思っていた
僕は今立川談志をとても好きになっているけど、評価している側ばかりではよくないだろうということで・・
家元はお金に汚かったらしい
まず、立川談志の娘が入院した話から始まる
「弓子の入院は俺のプライベートだ。弟子たちには知らせるな」
と言ってから2週間後には
「弓子が子宮ガンで入院しているのに見舞に来ない弟子はけしからん。罰として上納金Ⅰヶ月の刑に処す」
と言いだしたらしい
これに関わらず、話が進んでもお金に汚かった話がちょいちょい出てくる
そうかー、そういう一面があったんだなぁ
立川談春は洗脳されている?
僕が最初に読んだのは、今回の著者である快楽亭ブラックとは違って
完全に立川談志が落語協会から出た後の弟子である立川談春が書いた「赤めだか」だった
そこでも、立川談志の弟子に対する傍若無人ぶりというのは書かれているんだけど
快楽的ブラックは含蓄が違う
落語家快楽亭ブラックにとって立川談志は父、寄席は母だと思っている。両親の愛に育まれて育っていたのに、ある日両親が離婚して父親に引き取られた。母親に逢うことを禁じられた。これだけでも寂しくてならないのに、この父親、子供たちから金を取る。上納金制度だ。それだけならまだいいが、やれ罰金だの、自分の本を50冊づつ買って客に売れだのとやたらと金を取りたがる、新興宗教か。
(立川談志の正体 より)
そんな感じで、寄席を知らないで談志に洗脳された談春はじめとした家元以降の弟子よりも、自分たちを冷遇するのは当たり前だろうと分析している
寂しがり屋で自己矛盾を起こしていた
赤めだかを読んだ時にもちょっとだけ思ったけど
立川流を作った時に「実力主義」を掲げていたけど、どうも性格的にそれが出来なかったようだ
「破門だ」と言っても口先だけ、最終的には許すつもりだ。大阪にいったあっしを戻してくれたのもそうだし、キウイの破門騒動の時だった(中略)キウイの踊りは、踊りと呼べるレベルのものではなく、ロボットの体操だった。家元、その踊りを見て酷評した後、「こいつを(立川流に)戻すか、クビにするかはお前たちで決めろ。俺は別室に待機して結論を待つ」と宴会場を出て行ってしまった。
(立川談志の正体 より)
実力主義をうたって、しっかりとした基準を設けていたけど
自分が抜かれた経験から、やっぱり弟子は順番に昇進してほしかったし、一度弟子になった者に辞めて欲しくなかった
それを斬ることが出来ない人だったみたいだ
そういう自己矛盾は真面目な創作者だったらよく持っているモノな気がする
美輪さんのとのキスは虚勢だった?
前回読んだの立川談志本人の自伝の中で男色の話が出てきたって事を書いたんだけど
あれはどうも虚勢だったみたいだ
ある時、家元、週刊サンケイで山口洋子と対談し、「近頃何をやっても面白くない。この間、男と寝てみたけどつまらなかったし・・・・」今なら家元、性を超越してるんだ。どうだすごいだろうと見栄を張っているだけだとわかるが、三十年前のあっしは純情だから、これを真に受けた。
(立川談志の正体 より)
他にも、覚醒剤をやってるように注射を打つ仕草をしたけど、手の形でやってないのがバレバレだったりとか
そういう悪ぶるのが癖みたいな感じだったらしい
そういや、自伝で美輪さんとキスしたって話も「相手は多分忘れてるだろうけど」って前置きをしてたな
僕も悪ぶるときはそういう風にしようかしら
シンパシーは変わらない
快楽亭ブラックという立川談春よりは多少否定的な弟子の本を読んで
立川談志の虚勢とでもいうところが見えてきた気がするけど
僕の中の立川談志へのシンパシーは変わらないし、魅力も全然減らない
むしろ、その人間味にもっと大きなシンパシーを感じるくらいだ
美輪さんがよく「頭は冷静に、心はホットに」って言ってるけど
それを地で行ってた人なんだろう、ただ、心がホットなのが大きすぎた感じだろう
次はもっと否定的な本を見つけて読んでみようかしら
最後に快楽亭ブラックに巧いと言わしめた例えを
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