しばらく仕事が立て込んで読書が出来なかったんだけど
瓦町フラッグのジュンク堂で前から読みたかった本が面陳列されていたので購入
[amazonjs asin=”4166610570″ locale=”JP” title=”アンドロイドは人間になれるか (文春新書)”]新書だったので3時間くらいで読み切れた
僕が石黒浩を知ったわけ
この本の著者の石黒浩はマツコデラックスのアンドロイド「マツコロイド」を作ったことで有名らしい
僕はここ10年くらいテレビの無い生活をしているので、そっちは知らなかった
僕が石黒浩を知ったのは、今年の2月に坂出であった
著者が作ったアンドロイドを使った演劇「アンドロイド演劇 さようなら」を見に行った時だった
「アンドロイド演劇」では演劇において自然に会話しているように見えるように
劇作家の平田オリザが細かいタイミングなどを指定して、アンドロイドの動きをプログラミングしている
そのプログラミングを還元してロボット研究にも蓄積していうなんて
なんておもしろい事をしているんだろうということで
ワークショップを体験させてもらった平田オリザにも大きな感銘を受けたんだけど
平田オリザのアフタートークに出てきた、石黒浩にも大きな興味がわいていた
大好物だこれ
それで読んでみると、果たして僕の大好物の話だった
去年の暮れくらいから、押井守や養老孟司や福岡伸一にはまって
「情報と脳への信仰」「カラダを亡くした人間」「わかりあうとか心ってなに?」
そんなキーワードに思考を奪われている僕にとって、まさにのどから手が出るほど欲しいような内容の本だった
[amazonjs asin=”4106100614″ locale=”JP” title=”死の壁 (新潮新書)”]ハグビー
この本には著者が関わって作った色々なロボットが出てくるんだけど
僕が印象に残ったのは「ハグビー」だ
このハグビーは簡単に言うと「通話機能が付いた抱き枕」だ
人間は一つの物事に対して、二つの「モダリティ(感覚のようなもの)」が重なってつながったときに
脳が脳が大きく反応して(わかった)と感じるという実験結果が出ているらしい
ハグビーで言えば抱いているという触覚と人間の声という二つのモダリティが重なることで
声だけの時の何倍も強く、声の主の存在を感じることが出来るらしい
存在を強く感じると承認欲求が満たされる
普通に座って聞いていただけでは、ざわざわして全体の8割が聞いていなかった紙芝居を
ハグビーを持たせた場合は、実験に参加した小学生全員が静かに聞くようになったらしい
ざわざわしていた小学生は、実はしっかりと自分と寄り添ってくれる他者を求めていて
ハグビーは先生の存在を強く感じさせるツールになって
そのある種の承認欲求を満たしたということだろう
カラダを取り戻すツールになるか
これは、僕が最近はまっていた人達がよく論じている
「分離してしまった脳と身体」の間をつなぎ合わせるような実例のように思う
自分というものが情報のように不変のものだと信じることで置き去りにされたカラダを
脳への反応を利用したロボットを使って再び一つに合体させられる可能性がある
情報への奴隷化が加速するか
しかし一方でこの本の中でも
宗教団体のセミナーかと見まがうばかりに
と表現しているように、情報のほうにカラダまで操作されてしまうのではないか?というような恐怖も感じた
脳と感覚の事を熟知することで、人形を恋人だと思い込む催眠術のような事が起こって
全ての認識を何者かに支配される映画「マトリックス」のような世界が実現してしまうのでは?と思ってしまう
[amazonjs asin=”B00FIWIQ3I” locale=”JP” title=”マトリックス (字幕版)”]まるでSF作家
ハグビーに関わらず、色々なロボットは著者本人の「人間とは何か?」という問いを考察するために作られている
映画「攻殻機動隊」の中で、身体のほとんどを機械化した人間を描くことで、人間の本質とはなにか?という問いかけをした押井守や
漫画「火の鳥」で死なない人間を描くことで、人間と生と死の意義を問いかけた手塚治虫なんかが
作品を通してやっていることと非常に近い気がする
ただ、この著者は最新の知識やテクノロジーを最大限駆使して、実在のロボットを作ってしまって実験してしまっている
とても興味深い反面恐ろしいとも思う
また、実在がない状態で問題提起まで作り上げてしまったSF作家にも大きな畏敬の念を感じた
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