演劇入門 平田オリザ著 読了 平田オリザのコンテクスト理論

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また、つい1年前だったら絶対に読まなかった本を読んでみた

平田オリザ著 演劇入門

というのも、僕はジャグリングを始めてからというもの、「演劇」とか「芝居」とうものを毛嫌いしていて

その仰々しい感じとか、体育会系な雰囲気とか、ジャグリングと違ってしっかりとした技術体系がありそうな感じとか、そういうのひっくるめると今でも多少の嫌悪感がある

しかし、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉もあるので、ちょっと覗いてみようと思って読んでみたら

思いのほかおもしろくて、僕が今思っていることについて、わかりやすく書いていたので

僕の演劇への嫌悪感と併せてまとめてみる

感情移入を迫られる気持ち悪さ

僕が演劇が嫌いな理由の一つは、「リアルじゃないものをリアルとして感情移入させようと迫られる気持ちの悪さ」があると思う

市民劇団とか小中学校のお遊戯にしても大学の劇団クラブにしても、

大仰なセリフにはリアルな感覚は何も感じないのに、話ことばで構成される筋書で感情移入を促してくる

言葉というのは、とても人に与える影響が大きいので、ある種それに頼ってリアルさを置き去りにしても話として成立してしまうので

ストーリーの力によって、リアルじゃない感覚の世界に引きずり込まれてしまう

それが、アニメとか映画であれば、画面の中で行われていることなので、なんとも思わないけど

実際に今、舞台の上にいて、僕が声を出せば聞こえるであろう人に引きずり込まれるから気持ちが悪い

僕が役者さんとか、演劇経験者に不信感を抱くのは、その残り香が漂ってくるからだろう

平田オリザの演劇入門はセリフのリアルについての章から始まる

これに対して、この本はまず、演劇で言われるダメなセリフ「説明的なセリフ」の説明から始まる

冒頭のたとえを引用すると

舞台設定を美術館だとしよう。主人公が入ってきて、いきなり

「あぁ、美術館はいいなぁ」

と独りごとをいう。これがいちばんダメなセリフの例である。

(演劇入門 より)

これは、僕が上の文章で長々説明した違和感ととても近い

この本は、このダメなセリフがどうしてリアルとかけ離れて聞こえてしまうのか?

技法的なところに始まって、西洋の言語と日本語の違いによる違和感や

体育会系な教育方針に邪魔されて、戯曲の書き方の手本となる指針があまり書籍化されていないこと

それに伴い、テレビの影響を受けた当時(この本は1998年発行)の若い世代がどう戯曲を曲げて作ってしまうのか?

というようなことがまとめられている

これは結構目から鱗というか、つい最近演劇経験者からmoimoimoiにもらったアドバイスもそっちの方向には向いていなかったし

押井守の影響で、話し言葉自体がパフォーマンスを構成するには向いていないと思っていた僕には

舞台で話し言葉を使って、リアルな感覚を研究しようとする著者の感覚は結構衝撃的だった

かなりわかりやすいので、興味が沸いた方はぜひ読んでみてほしい

いやー、本を読んでみるもんだね

平田オリザのコンテクスト

さらに、この本の中でコンテクストという言葉が非常に効果的に使われている

少し前に創作には拠点施設が必要だっていう記事を書いた時に

創作パフォーマンスに拠点施設が必要な理由

その理由について、共同創作者同士に通じる共通言語をはやめに作る必要があるからって言ってたんだけど

平田オリザの「コンテクスト」は僕の思っているこの共通言語のことそのものだと思う

「コンテクスト」とは直訳すれば「文脈」のことであり、「その単語はどういうコンテクストで使われているの?」などというのが一般的な使用法である。だが、ここでは、この言葉をもう少し広い意味で使うことにしたい。ここでいう「コンテクスト」とは、一人ひとりの言語の内容、一人ひとりが使う言語の範囲といったものと考えてもらいたい。

(演劇入門 より)

この書き出しから始まって、演出家にも役者にもそれぞれのコンテクストがあるはずだけど

そのコンテクストを役柄や演出家に合わせて、広げることが出来るのが器用な役者であり

役者とのコンテクストの差をなんとかすり合わせていけるのが、優れた演出家であり

平田オリザが自分の劇団のオーディションをするときは、このコンテクストが類似していて、かつコンテクストを広げてくれそうな役者を合格させると続けられている

怒鳴ることで役者とのコンテクストのすり合わせを放棄する演出家はあまりよくないみたいなことさえ言っている

これは、今の僕には非常に納得できる考え方だ

moimoimoiは最初は僕が演出家のような形だったのが

演出も3人のやり方を融合させてやろうという形になっていったけど

そのせいで、誰が舞台の構造について責任を持つのかあいまいになってしまった

moimoimoiは休止中だけど、次作るとしたら、そこらへんも踏まえて作ってみたいな

 

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

四万十町在住パフォーマー 大学卒業後製紙会社に勤めていたが、移住を機に地域に根を張るパフォーマーとして生きていくことを決意。 2018年現在地域おこし協力隊として働きながらパフォーマーとして生きていいく道を模索中。 詳しいプロフィールや出演依頼などはメニューから各項目を参照ください。